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おがくずをここに捨てれば身綺麗になれるはずだと思ってました
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『Think』

もぐらではなく人間であるように架空のなかをとぶモルフォ蝶

四足の猿だったあの夏の日へ戻れば人に大差などない

思考こそ目的なのだ 本能の還る言葉を煮込み続けて

原案に忠実なままポケットは偏執狂の石ころだらけ

賢明な助言はいつも幸福を味わう者の胃袋に居る

人生についてひとつの結論はのばさず食べるカップヌードル

呼吸していられるくせに不幸まで保険適用内と思うな

内側の温度の違うあなたとはわかりあえないわかりたくない

「我々」の真理にたどりつけなくて西暦二千十一年目

正答に触れたのならばいますぐに旅立ちなさいペースメーカー

<「未来」No.710 2011年3月号>
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『冬と夜空とエトセトラ』

赤星と冬と夜空とエトセトラはるか彼方のささやきを聴く

カンバスのいない画架座のゆううつに包まれている寒天の下

オリオンが怖くて雪をかけまわる白いうさぎに時計を贈る

おおいぬとこいぬが丸くなる丘へぽとりと落とすビーフジャーキー

老人の抱く子ヤギに愛されて飛行機雲がのびる夕刻

似てるけど似てないのって言いながら穿いているのはそろいのショーツ

「らくだではありませんから」否定するきりんのまつげに浮かんだ涙

オリーブの枝よりいまはサブレだね 鳩はひよこに熱弁をした

加速度を増して流線形描く星図の海のとびうおの群れ

<「未来」No.709 2011年2月号>
『心療時間』

悲しみの蒼穹を越えやってきた渡り鳥には甘い淡雪

生殺しされつつ今日も晴天が私を射して、刺していくのだ

錆びついた公衆電話の内側でこだましている夢の群集

「とりあえず一歩前へと踏み出そう」言われて立った屋上の端

着地点見つけられずに爪先が大地へ触れる(怖い、助けて)

閉鎖病棟内走る人体はガラスの靴を探しています

私にはなれないでしょう 先生は白衣の似合う人なんだから

細い腕はらりと落とし膨らんだ赤い真珠が割れるのを待つ

どうしても君を傷つけたい朝にバターナイフを振りかざしてる


<「未来」No.708 2011年1月号>
『ワンダーランド』

ノイズから始まるドミソ 空にある飛行機雲がひいた五線譜

恋はもう息をひきとる(まだ待って)避難器具すら見つからなくて

とても良い青空ですねこんな日は水を注ごう庭の蟻の巣

(甘い闇)蜜を吸い尽くされているスミレに魅せた豊満な夢

夜通しで紡ぎ続ける金網に食い込まれゆく白い満月

戦争は終わることなく神様が押せないでいるリセットボタン

ジョーカーは誰でしょうかと尋ねれば静かに挙手をしている天使

ああなんて愛しいのかこの胸に溢れ返した「おかえり、狂気」

糖質の多い優しさ そこからは有料ですよ(もう戻れない)

ありがとう神様ありがとう今日も私が不幸なワンダーランド

<「未来」No.707 2010年12月号>
『ドアノブの向こう側』

セパレート携帯電話ばらばらにして運命の恋人を待つ

美しい世界から隔絶されてベールをかぶる真白い翼

ビロードのように輝き愛おしい瞼の裏で波打つ闇は

病床で揺れる足から飛び出した(遠く遠くへお逃げスリッパ)

自殺願望の濃い蜂蜜を舐める(甘さ控えめ※砂糖に比べ)

「しんどい」と言いつつ鶴は自らの尾羽と仇を織り込んでいる

死んだ眼の五歳の私(抱きしめている新魚類解剖図鑑)

空箱が蓄積されるこの部屋で眠りすぎにはご注意ください

無根拠な恐れ 私を容れているフラスコはいつ割れるのだろう

ドアノブの向こう側にはひんやりと冷たいままのみそ汁が居る

<「未来」No.706 2010年11月号>
『哀の甘美』

沈黙を宿す陶器の人形はヒトに似ていることがあるのだ

よろい戸が閉まっていても初風が引き連れてくるアイデンティティー

前壁へ赤いペンキを塗るための濡れたくじゃくの虹色尾羽

てっぺんに家が一軒しがみつき初夏を待ってる(それはつばめの)

少年の水彩絵具に残されたもうからっぽのコバルトブルー

ニセモノの教会堂から見えている水平線と金色の海

朝焼けの低い石垣腰かけるお前の一歩一歩の征服

なごやかに不協和音を聴きながら光と影と愛し合う人

解放者 ソラナックスは目の前の甘美と共に眠りにおちる

<「未来」No.705 2010年10月号>
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短歌として受け入れてもらえるかわかりませんが、感想お待ちしております。
『悲しみのあとで』

残骸のそばでひっそり遊んでる午後の六時にうち寄せる波

けがれなき娘の乳房 幸福のなつかしいこと呼び起こしつつ

永劫を噛みくだいては幾千の花の数だけゆったり紡ぐ

困難な詩編を石に彫る音に愛情を織り込んだ啄木鳥

儀式にも似ている彼の心体をすり抜けていきそうな、永遠

ある山羊がめえめえと啼く(雨に濡れ繋がれている僕の悲鳴だ)

祝福をされたばかりの海はまだすべすべとした鏡のようだ

遊戯 暗くて狭い牢獄の中互いを貪り合うやどかり

閉ざされた狂気の中で潰されて死んだ詩人の愛する羽根ペン

<「未来」No.704 2010年9月号>
『ハッピーターン』

最初からあきらめながらもう一つ噛みくだいてるハッピーターン

キスのとき薄荷ドロップ舐めていた君との味を覚えぬ為に

星粒のフリして空に浮かんでた金平糖がぽつぽつ落ちる

両の手でそっと静かに包み込むタマゴボーロのような初恋

「さよなら」を宣告された(泣けなくて)ポップコーンをぶちまけてみる

琥珀との違いわからず死んでいくべっこう飴の薄羽蜻蛉

マシュマロに一本一本縫い針を刺していく 今日浮気を知った

四度目の春が来るころ教室に取り残されたキャラメルコーン

<「未来」No.703 2010年8月号 >

今月は8首のみの掲載です。ボツにされてしまったものは、やはり精度が低いと気がつかされます。また、今回は実験として比較的明るく、大衆受けしそうな雰囲気で作ってみました。ですが、黒い短歌の方が性に合っているみたいなので、これからはもっと黒くいきたいと思います。
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プロフィール
HN:
中森つん
性別:
女性
自己紹介:
穂村弘さんに影響を受け、2009年、短歌にベクトルをあわせ出発進行。雑誌やメディアでの掲載・採用情報、結社詠草の情報置き場。尊敬する歌人は笹井宏之さん。
結社「未来」の「彗星集」所属しておりました。申し訳ございませんが、歌意の説明は控えさせていただいております。
2011年12月活動休止。2013年4月活動再開。
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