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おがくずをここに捨てれば身綺麗になれるはずだと思ってました
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田中ましろさんのやる気溢れる「うたらば」のブログパーツが更新されました。今回のテーマは「丸」+自由詠。応募総数97首もの中からなんと2首も採用していただきました。(採用数15首)

神様にわけへだてなく愛されてないからグーは石なんだろう

一生に一回でいいキスをして君と乗り込むメリーゴーランド


どちらの短歌も「丸」を読み込んでおらず、それをイメージさせるように挑戦いたしました。私はお題を詠み込む短歌よりも、連想させるようなもの、背景や物語のある短歌が好きで、それを詠んでいけたらと思っておりますので、こうして(ましろさんの気の間違いであろうとも)受け入れていただけたことに感謝したします。

今回の短歌の中で最も好きなのが

「わたしたち結婚します」すの丸が変わらず大きい君の直筆(田中ましろ)

です。この短歌をましろさんがどういうお気持ちで作られたのかは存じ上げませんが、以下私の妄想。(長文拙作なのでスルー推奨)

--------
彼女から葉書が届いた。忙しくなるというメールを三ヶ月前にもらってから、何の連絡もしていない。
最後の日に君は「元気でね」と言い、普段と変わらない笑顔で僕の隣から去っていった。ケンカ別れをしたわけではないと、僕はたびたびメールを送った。「桜が咲いた」「仕事でミスった」どうでもいい内容に、彼女は飾らない返事をくれる。それが嬉しくて、どこかでまたやり直せるんじゃないかと期待も込めて、僕はメールを送り続けた。
そんなやりとりが一年くらい続いた年末に、珍しく彼女からメールが届く。
「しばらく連絡出来ない。ごめん。」
新規プロジェクトメンバーに選ばれた話を聞いていたから、その仕事が動き出したんだと思い「わかった。頑張れ!」と短い返事を送った。それから連絡が途絶えたことを気にせず、毎日を過ごしていた。
開花予想がぴたりと当たり、週末あたりカメラを持って出かけようと帰宅したポストに、見慣れた字で僕の名前の書かれた葉書が入っていた。ダイレクトメールじゃないことはすぐわかり、触れた瞬間、ぴりりと指先に電流が走る。
「わたしたち結婚します」
可愛らしいレースの縁取りのデザインに、男女の写真。僕には見せたこともないような笑顔の彼女の隣にいる男は、正直カッコいいとは思えないが、彼女の肩に添えられているてのひらのぬくもりが、すべてを表していた。
溢れる思いが次から次へと浮かんでは消え、また浮かんで。気がつけば彼女宛のメールを送ろうとしていた。「なんでメールのやりとりしてたんだ」「いつから付き合ってたんだ」「その男は誰なんだ」ただの醜い嫉妬だ。
じゃあ、なんて言えばいい。僕の中の君はまだ笑っているのに。
自分のほうが彼女のことを好きだと確かめるように、受信メールを開き始める。ほら、こんなにも楽しそうな会話をしているじゃないか。変な笑みが張り付いて、あの日のメールの言葉が目に入る。
「ごめん」
すとん、と心の奥に何かが落ちる。彼女はやさしく突き放していたのに。ずっとすがりついていた。こんな情けない僕に、それを自分で気がつかせようとしてくれていた彼女の、憎らしいほどのやさしさが染みる。僕はもう一度メール作成画面を開き、だた一言「元気で」と書いて送った。ありふれた言葉の中に、ありったけの感謝を詰め込んだ。返事は来なくていい。ふとあの日の情景がよみがえる。

振り返らない君の震える肩を、僕は忘れない。

BGM:SURFACE「振り返らない君の涙を僕は忘れない」
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無題
こんばんは。
つんさん、人の短歌にショートストーリーをつけるなんて、こっちのセンスもあったんですね!!
あたしもすの丸が大きいこの歌はすごく好きなので、さらに背景が想像できておもしろかったです。
しかも切ない。いいお話でした。
(最近切に思うのですが、短歌を詠まれている方は文章で「ここがこうだからよかった、と説明するのがうまいと思うのですが、あたしは本当にそういう頭のよさがなくって・・・平凡で薄っぺらい感想になってしまいますが、本当に良いと思ったので、そこだけは信じてください笑;)

つんさんのおっしゃるように、あたしもずっと、「お題の言葉を詠み込まずにイメージするものをうまく歌にする」ことは投稿者として本当に目指す形だと思っています。
が、ただでさえ元々なかった短歌力が下がっている今、詠み込んでやっと、という感じで、つんさんえらいなあ、すごいなあ、と思っています(これまた薄っぺらい感想ですがお許し下さい笑)

二首目、「コーヒーカップだったらどうだろう」とか勝手に想像で遊んでいます(すみません)なんか、メリーゴーランドって普通にあるものなんですけどやっぱり非日常な雰囲気で、幻想的で素敵な言葉のチョイスですよね!
こゆり 2011/02/26(Sat)22:34:49 編集
お返事。
>こゆりさん
こんにちは。コメントありがとうございます。

「短歌+ショートストーリー」というテイストは、短歌を始めたときからしばしば挑戦していたことなのですが、こうして公開に至ったのは初めてです。元々、短歌の中に物語を込めることや、人様の短歌から物語を想像するのが好きなので、こゆりさんのおっしゃるように「ここの表現がこうだからこう素晴らしい」と評価をするよりも、感動が伝えられるのではないかと思っております。自分の文章力に自信がないので、こうしてご感想をいただけたこと、感謝いたします。

「お題を詠み込む」ということに関しましては、N○K短歌投稿という難所で鍛えておりますが、そちらのセンスはなく、なるべく自由詠に近い形での短歌のほうが、イメージを固定させる必要がないので色んな物語を紡ぐことが出来ます。一応、月一更新の未来詠草には連作としてのテーマ設定をきちんとしております。自分では短歌力が上がったとは思っておりません、ただ、物の見方や感じ方が変わってきているのはわかります。

「コーヒーカップ」は遊具としてのそれなのか、食器としてのそれなのか、読み手が一瞬戸惑ってしまうのと、私の中で「コーヒーカップ」という乗り物は「自分たちで自由に速度を変えられる」という、ある種の希望のようなものがあるので、選びませんでした。逆に、作り物の馬に乗って、非現実世界を回り続ける「メリーゴーランド」は、引き返すことのできない、現実逃避の比喩になるのではないかと思いました。そのあたりがうまく伝えられなくて申し訳ございません。

もしこのショートストーリーが好評でしたら、今度は自分の短歌で挑戦してみたいです。
中森つん 2011/02/28(Mon)15:22:12 編集
ありがとうございます!
こんばんは!
メールありがとうございました!
皆さんのブログチェックが全然できてない田中ましろですみません(涙

何よりもまず、短歌を好きと言っていただいてありがとうございます!
そしてショートストーリー、いいですね♪
短歌と同じでつんさんの言葉選びってすごく丁寧なので、読んでいて全然飽きないです。それって何気にすごいことだなぁ、と思いました。

ちなみに、短歌は「元カノから結婚しますの連絡が来た」ところまでは事実です。
直筆ではなかったのですが、ぴりりと指先に電流が走ったのは同じです(苦笑

うたらばは、お題をそのまま詠み込まれる方が多いので、募集ページにも「詠みこむ必要はありません」と追記しているんですがやっぱりそのまま読み込まれる方が多いですね。僕としては自由な発想力でお題を料理していただきたいところなので、つんさん(こゆりさんも)のように直接詠みこまない短歌のほうについ目がいってしまいます。

いつも素敵な短歌をありがとうございます。
これからもよろしくお願いしますね☆
田中ましろ URL 2011/03/01(Tue)00:40:43 編集
お返事。
>田中ましろ様
こんにちは。ご多忙の中、こんなに早く確認に来てくださって、ありがとうございました。

ましろさんの短歌は、何故だかいつもあたたかい切なさがあります。それがすごく好きで、ましろさんが画像とあわせて作品を発表してくださっているように、恩返しのようなものができないかと思っておりました。短歌以外の文章をまったく書かなくなってから随分経ちましたので、現在進行形でそういうお仕事をなさっているましろさんにお褒めの言葉をいただけて光栄です。まさかの実話かぶりにどっきどきです。それ以降のお話をぜひお聞かせください!(笑

お題があって、それをイメージして短歌を詠む、読んだ人間が受け取り想像する。それは私達歌詠みにとって、もしかしたら簡単なことなのかもしれませんが、しっかりとお題が読み込まれている短歌のほうが、短歌にあまり詳しくない方などには伝わりやすいのかもしれません。どちらのほうがいいとは言い切れません。ですから、今のましろさんの選歌の仕方は両者に対応していて、とても面白いです。そのような平等な目を持つことは、難しいことですから。

こちらこそ、これからもよろしくお願いいたします。
中森つん 2011/03/01(Tue)15:24:44 編集
無題
泣けた。号泣だ。
垂々 2011/03/01(Tue)19:34:40 編集
恋文(お返事)。
>垂々様
その涙私が舐めてあげようか真珠に変えて身に付けようか
中森つん 2011/03/01(Tue)19:55:33 編集
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中森つん
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穂村弘さんに影響を受け、2009年、短歌にベクトルをあわせ出発進行。雑誌やメディアでの掲載・採用情報、結社詠草の情報置き場。尊敬する歌人は笹井宏之さん。
結社「未来」の「彗星集」所属しておりました。申し訳ございませんが、歌意の説明は控えさせていただいております。
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