090329(晴れ)

スーパーに並ぶキャベツと玉ねぎが甘味を増して春に気がつく

飛行機が真一文字に割っていく桃色の雪舞い散る空を

前線が北上しきるその前にこたつ布団を圧縮したい

はみがきのチューブをぎゅっと押しつぶす気力あるなら今日は大丈夫

コンビニの苺フェアーのピンク色　あたしを魅了してやみません

「卒業の日の詠」

3月の雨のまにまに降る雪が梅を散らして桜を咲かす

青春の終わりを告げる鐘の音と重なるチャリのベルが響いた

ビニ傘が1本2本と残ってる卒業式の後の教室

はつらつと走る音らがこだました校舎が消える冷たき春

東京へ旅立つ君を見送ってしじまに消える最終列車

「風邪の日の詠(3)」

差し出した食費財布で買い出しへ行かせてみれば菓子の山なり

とりだして良くなってから入れ直し出来ればいいな　この胃袋を

真夜中の食欲不振応えれる近所のファミマ彼氏より上

せちがらい世間伝えるニュースより4日寝込んだ布団がきつい

それはただ正当化したわがままとわかっていても「アイス食べたい」

「風邪の日の詠(2)」

起き上がり気持ち悪いとつぶやいたあたしの横でカップ麺開け

抱きしめて優しくあたま撫でてから「色っぽいね」とさからないでよ

底抜けに明るい外の日差し見てうつが増します布団の中で

今はまだ寝ていたほうが良いと言い掃除片付けしてはくれない

日ごろからしない料理で苦戦してネットで調べ２時間が経つ

「風邪の日の詠(1)」

遺書残し「私ダメかも」病院へ行った結果はインフルエンザ

もう何も出るものはないトイレにて胃腸に言うも聞いてはくれず

養分を摂取せねばと冷蔵庫　頼りのポカリ並んでいない

めんつゆが万能ということを知る　しょうゆに次いで味付ける粥

食べやすいものをなにか　と頼んだらあなた買ったのミスタードーナツ

090222(晴れのち曇り)

焦がされた食パンの耳最後までかじらない派のフランスパンよ

初雪を誰より早く知らせたい電話番号表示するだけ

聞こえてるどくんどくんと脈打って愛を囁くあなたの吐息

ご用心暗い夜道の変質者　それより怖い元カレ遭遇

寒いのが苦手なあたし　あなたからゆたんぽ貰い寂しさが増す

090215(曇り)

コトの後左側から心地よい大きないびき聴き浸る夜

キスマークそんな陳腐なものよりも背中のほくろ一本毛抜く

いつまでも本カノくらう２枚目のイエローカードを待っています

新年に神様の前手を合せ　願いごとより釘と木づちよ

「愛してるホントは君だけ」そのセリフご機嫌取りの常套句だわ

090208（晴れ）

彼の部屋ビーフシチューの残り香で本カノさんへ宣戦布告

３コール鳴らして出ない金曜のアフター５はやけ酒コース

寝てる間にパンツのタグをちょっきんと切ったらあたし優越の中

ケイタイのくもる画面を何度でも拭いても待つの「今から行くよ」

二番手の愛しき地位も危機迫る本カノアラサー来月のin



※読み方
・３コール「さんコール」
・アフター５「アフターファイブ」
・来月のin「らいげつのイン」