090524(雨のち曇り)

できたてのシチューのとなり缶詰のグリンピースが自己主張中

春巻きに隠した謎に気づいたら２人で逝こう楽園の夢

夕闇にぽつんとポスト佇んで暗がり消えるそのシルエット

枯れていくサボテンの花摘み取って押し花にした「あたしみたい」と

彩りを添えるカニカマ捕えられ「蟹ではない」と否定続ける

090517(雨)

せっけんの香りほのかにただよわす通勤電車のあなたを思う

牛丼が独りのあたし温めるそんな悲しき金曜の夜

速そうな２ｔトラック見つめてはそっと願うわ「轢いてください」

ひらひらと金魚の尻尾みたいにねスカートの裾ひるがえしてる

あたたかい雨はなんだか虚しくて髪までひやり冷えるのがいい

090510（晴れ）

コロンボの「うちのかみさん」並みの謎　噂で聞いたバリルンご飯

たこわさの気持ち初めて知りました　日焼け後に塗るシーブリーズで

ヘラ使い妙に巧みで見とれてたお好み焼きをかえすその手を

純白のティーパックたち目の前にアッサムメレンがたどる憂鬱

急速に青ざめていく　カメレオンなんて目じゃない　これが修羅場よ

090503（晴れ）

幼子は口を大きく開けて待つ　人世飛び抜け回りし母を

あたしには重大事件発生中　冷蔵庫のスミさよならセロリ

そろそろと気づいてはいるけれどまだ浸っていたいこの危機感に

オレンジの色に染まって沈む陽を眺め迎える夜の誘惑

海を越えあたしの元へ辿りつくメイド・イン・パリ　アイスクリーム

090426(晴れ)

寒空にライトアップ松屋さん心惹かれてお一人様で

寝転がるあたしの口へピスタチオ運ぶその手を召し上がりたい

サーサーと静かな音が聞こえても向こうのあなた繋がっている

透きとおる麦茶ボトルの向こう側　流行りのネイルまるで大正

夢に見た赤フレームのレンズなし眼鏡を買って奈良へ旅立つ

090419(晴れ)

粉だけをはがして食べた25時　罪悪感とハッピーターン

拭き取ったメイクがガーゼこびりつく昔別れた男みたいに

運命と予言告げられ手のひらの結婚線にメスを入れます

ベランダのオレガノ・セージ摘み取って肉と一緒にうらみをこねる

ひとりきりビッグマックにかぶりつく　そんな気分になるときもある

「さくらの詠」

さくら味ポテトチップスつまみつつワンセグで見る目黒川沿い

猫みたく花びらたちをつかまえてポッケしのばす幼き頃よ

さくら咲き見頃「今！」と言われても　スケジュール帳まっ黒でして

散り際でとみにキレイになれるほどあなたを好きになれなかったの

桜散りいつになったらさくらんぼ実るだろうと見上げて歩く

090405(曇り)

桜餅張りつく指につける塩まで桜味　こだわりの春

はじめてのキスを思い出すたびに閉じては開くあの日の手帳

ひきとった冬の死体をぬるま湯でもどした後で使っています

嘲笑いそこら中から聞こえてるブルーシートの雨色メロディ

女王へと捧ぐ琥珀とマーガリン　食パン描くマーブル模様