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おがくずをここに捨てれば身綺麗になれるはずだと思ってました
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『EXIT』

じんじんと爪の先から騒ぎ出し眠らせないであなたが欲しい

明日の朝私のことを忘れてもくちびるが覚えているでしょう

出会いから幾年経った恋だって灼熱色に燃え続けるの

くらくらとやられてしまうその瞳へと溶けていく熱になりたい

早鐘の鼓動の渦に巻き取られ頭が痛い愛が足りない

優しさを求めて愛を貪って空っぽになるまで奪い合う

信号は赤い それでも追いかけるアクセルを踏む強さを持って

怖くない(でも泣きたいよ)臆病な心を煽る波浪警報

エンブレムぼろく無様に輝いてそれは弱さを受け入れた証

たくさんの理由と思い出の中で選んだ白いパズルのピース

アイコトバ淡い未来のプロローグ二人でドアを開けれるのなら

解答を求めて人は生と死のはざまで揺れて何も出来ない

サイレンが鳴り響いてる夜なのに(聞こえないふり)口づけをする

雨音のオーケストラが投げ出した茶番みたいな別れの理由

「たられば」を語る人生計画はいらない風見鳥よ導け
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カフェオレと羊をめぐる冒険を午前八時の高田馬場で

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待ち合わせのミスドに居る彼のスタイルはいつも、カフェオレと村上春樹だ。ドーナツとパイを先にたいらげてから、二杯目のカフェオレでゆっくりと読み進める。「おはよう」と声をかけると、少し遅れて顔をあげ「おはよう」と返してくれるけれど、対面に座る私のことを気にする様子はなく、再び春樹の世界へと落ちていくのだ。申し訳ないが「クリスマスに馬鹿売れした人」程度にしか、その作者を知らない。だから、どうしてそんな熱っぽい瞳で文字列を眺めることが出来るのか、理解できなかった。
ポン・デ・リングを食べ終え、甘いカフェオレを飲み干す私に、彼が声をかけてくる。
「おかわりする?」
「ううん、今日はいい」
そう、とだけ頷いて、目線は春樹から離れない。そろそろ一限目の授業に向かう時間だが、彼は三杯目のカフェオレを注がれている。先に行くとも言えず、サボタージュは確定した。こうしたマイペースに振り回されるのが心地よくなってきた。
「さとう」
彼の親指が、私の唇へ触れた。
「砂糖、ついとるよ」
やわらかい圧力でなぞられる。さっきまでかさかさの紙に置いてあったはずのその指は、少し汗ばんでいた。ミスドについてから一度しか目があった覚えはないのに、ドーナツを食べ終えたことも、カフェオレを飲み干したことも、口のはしに砂糖がついていたことも、彼には全部わかっているのだ。
「…ありがとう」
砂糖を拭った親指は丁寧に舐めとられ、もとどおり本の上へと置かれる。意識していると悟られないように、そんな感情を抱いているとバレないように、自分の鞄から昨日買ったばかりの文庫本を取り出し、視線の行き先を与えてやった。しばらくして二人の間に会話はなくなり、ただぼんやりと彼の所作に気をめぐらせる。
そういえば、春樹のページをめくる音を聞いていない。

BGM:surface『だけどきみを離せない』
   椎名慶治『いまさら好きだと伝えちゃダメかな?』
『三十六度の処方箋』

病んでいく真っ黒になり朽ちていくそれがすべてのはじまりでした

「死」を印字して滲んでる封筒は残さずここへ届けてください

太陽はズレた二つの十字架で出来てることを知っていますか?

草も木も踏みならされた獣道そこを進んで楽しいですか?

ちゅんちゅんとスズメは鳴いて、わんわんと犬は吠えたて、わたしは無言。

物言わぬ夜は重いと嘯いた上唇と下唇が

黒い毛の盲導犬に会いました あなたのようでとても愛しい

手の甲にキスをしたまま夜が明け朝になれたら幸せですね

すうすうと呼吸している(生きている)規則正しくリズムを刻む

「正常」をどうかわたしに「健常」をどうかわたしに どうかわたしに

変身が出来るものだと思ってた眼鏡かけたり外したりして

苦しみが次から次へ押し寄せる座席は全て埋まってるのに

ひとりきり喜怒哀楽を「トン」「ツー」と叩きモールス信号送る

片ヒレの紅い金魚は水面に右半身を出したまま死ぬ

のこぎりやチェーンソーでも切れないの小指の赤いあなたとの糸

生きること素晴らしいこと 人はみなそう言ってます スバラシイです

真っ白なおにぎり巻いた真っ黒な大きな海苔で(ざまあみろって)

毎日が最後の日です 歯磨きもお風呂掃除もこれでピリオド

菜の花の中で手紙を書きましょう(鼻腔の奥で再会できる)

笹井さん、人の価値まで歪んでるこの世の中を愛せましたか?

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本日8月1日は笹井宏之さんの誕生日ということで、勝手ながら追悼短歌を詠ませていただきますた。今月の結社詠草は欠詠してしまいました。かわりというわけではありませんが、こちらの短歌をお楽しみください。

中森つん
真夜中のセンチメンタルサーカスに忍び込んでは交わす約束

ため息の風船ぷかり沈まずに地面すれすれ浮かぶよぷかり

心臓をひと突きにするまなざしのナイフ投げられ息が苦しい

火の輪より怖い 誰かの所有物として輝く結婚指輪

恋人と妻と仕事をジャグリングこなして生きる君という人

命綱無くしたことで手に入れるスリルは恋のバランスの上

(転がしているのはどっち?)飴玉を口に含んで絡めあう舌

愛のある鞭だとしても着信のランプはここで警告の赤

繋がれずひえきった手が(届かない)ちゅうぶらりんにされる土曜日

閉幕のベルは鳴らない 道化師のままでふたりは朝を迎える

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以前、ツイッター上で
「この短歌が3RTされたら連作作る」と宣言し、実現したものです。
完全新作でブログのみにアップというのが久しぶりなので、
どういう反応があるか楽しみです。

今月投稿した結社の詠草に同じテーマとタイトルを使いました。
「サーカス」というのは楽しいけれど現実離れしていて、
戻ってこられないような恐ろしさがあると思います。

悲恋短歌にするつもりが、不倫短歌になりました。
これもひとつの悲しい恋ということで、
楽しんでいただけたら幸いです。
できればこちらの記事を読んだうえで、
短歌に目を通していただければと思います。
「一ヶ月。」
http://byouei.blog.shinobi.jp/Entry/235/

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『シュプレヒコール』

正しくてカッコイイこともうやめた誰にでも愛してるって言う

胸張って無茶苦茶なことしませんか?偽善者だって指差されても

ひとりずつ顔をあげたら笑おうかそれは未来の搭乗ゲート

いがみあいキャンペーンなら中止して隣の人と手を取り合って

ジグザグに切り取られてる人々の愛国心をパッチワークに

専門家的用語集 結論はとっちらかったジグソーパズル

捩れあう意見も声もフラスコで混ぜたら全部情熱の旗

ヒーローは誰でもなれる愛するという気持ちさえ忘れなければ

考えていないでもっと感じよう慈愛精神フルスロットル

「こんなとき」だからみんなで輪になってキラリくらくら歌うロマンス

言い逃れずらり並べてご満悦 そんなトップにワンツーパンチ

分の悪い戦いなんだいつだって僕はごねてる暇なんてない

すりむいた心の傷で限界がちらついたなら今日は寝ちゃおう

今はただおやすみなさい子供たちその空想は明日を描く

情報のインフレ時代 拡散をされてもここにあなたはいない

テレビから流れ続ける悲劇には飽きてしまったつぶやきの群れ

「ただちには害がうんたらかんたら」とオウムも覚えきれない台詞

僕だって自由に空を飛びたくて君だけ守る力が欲しい

目がくらむほどの青空 この雲の向こうにきっとあるよ、信じて。

泣き出してしまいそうだね夜がまだ遠くへ続く(でもホラ朝陽)
テレビには出ない名前が安置所で嗚咽と共に叫ばれている

報われぬ安否判明 おにぎりは塩分濃い目の気仙沼産

地震でも津波でもなく奪うのは救援の手の届かぬ闇夜


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震災から2週間が過ぎ、徐々に訃報が入ってくるようになりました。親戚一同東北県民ということで、ある程度の覚悟をしてはおりましたが、こうしてじわじわとやってくる悲しみには、どうすることも出来ません。

先日、心療内科へ行きました。現状をお話した上で担当医は「あの日、大きなダメージのあった浦安市に居たあなたは『被災者』です。ご親族や友人を助けたいという気持ちが強いのはわかりますが、それ以前にあなたは人を助ける側の人間じゃない。今は自分の精神を安定させることにつとめましょう」と言いました。薬も増えてしまいました。

誰かを助けることも出来ない。
誰かの支えになることも出来ない。
この戦後最大の悲しみの中で私ひとりが無力で、役立たず。

社会の歯車から外れてしまった人間が、もう一度その仕組みに入ろうとする難しさを、改めて実感しました。「自分に出来る限りのことをしよう」なんて、調子付いていた。そもそもやることなすことすべてが人の迷惑だというのに。

だからと言って、ここで心を折られてめげておとなしくしているような人間だったらこんなところでブログを書いておりません。何も出来ないなら出来ないなりに、這いつくばるのが中森つんです。各所の投稿は残念ながらしばらくお休みいたしますが、別のかたちで何かが出来るようにと思っております。

みなさまのもとへ、春の便りが届きますように。
『笹の音を奏でる風』

笹の音を奏でる風に会いました ほんのりとただあたたかいです

悲しみの降りつもる朝 こんなにも愛することの痛みを知った

もの言えぬ恋と知りつつこの冬も私は詠うあなたに詠う

いつまでもあなたのメモがとけなくて手に入らないやさしいことば

あのひとは風 軽々と吹き抜けたはずなのになぜ苦しいのだろう

猫の毛で光を編んでいくように記憶のひとつひとつをたどる

脚本の3ページ目に「死」とあってはさまっている紫蘭のしおり

まだ誰も飲み込めないでいるのですモノクロームのあの冬の雪

集積である感情のしおさいを聞く 遠い日のうみねこが鳴く

「やさしさ」と書けばあなたが滲み出て来てしまうので真白いノート

あったかい入道雲に大の字で眠ってるだけ眠ってるだけ

図書館に歌集が増えてきましたねいつか私もそこに行きます

きれいごとならべておいてくれますか それがホントにかわるときまで

日常の底に息づくきらめきを笛を吹く手でやさしくほぐす

それぞれのラインの上を歩いてくつかの間に降る風をまとって

「最愛」と頭につけて書き綴る手紙にひそむ妖精の羽

誰からも嫌われてあれ 私などあなたの中にいないのだから

くちびるで触れていたはず やんわりとかたちのわかる程度の愛を

かさぶたを剥がし続ける恋でした(治ることなど望んではない)

つかまえて風のしっぽをつかまえて帰ってこない人だとしても

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この歌を、すべての歌を捧げます。届かぬ想いだと知っていて。

中森 つん
杯を交し合うことできずとも義父の墓前に置く缶コーヒー

兄よりも父に似ている人が居て私と猫を愛しています

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実父には煮物セット(ようするにおつまみセット)を贈りました。旦那さんのお義父様はすでに亡くなっております。以前お墓参りをさせていただいたとき、缶コーヒーを贈らせていただきました。私も同じくコーヒー好きなので、いつか同じお墓に入らせていただく際には、一緒にコーヒーを飲んで語り合わせていただきたいです。
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プロフィール
HN:
中森つん
性別:
女性
自己紹介:
穂村弘さんに影響を受け、2009年、短歌にベクトルをあわせ出発進行。雑誌やメディアでの掲載・採用情報、結社詠草の情報置き場。尊敬する歌人は笹井宏之さん。
結社「未来」の「彗星集」所属しておりました。申し訳ございませんが、歌意の説明は控えさせていただいております。
2011年12月活動休止。2013年4月活動再開。
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